令和2年第2回臨時市議会報告

新生児に定額給付金5万円

 令和2年第2回臨時市議会は、7月30日から8月3日まで開かれ、新型コロナウイルス対策費を盛り込んだ一般会計補正予算案など計4件の議案審査を行いました。

 一般会計の補正は4度目で、総額29億6,567億円が計上されました。国が全国民に一律10万円を給付した特別定額給付金は4月27日時点で住民基本台帳に記載されている方が対象で、28日以降の新生児は対象から漏れ、その差別的取り扱いに様々な議論が沸き起こっていました。そのため市は28日から令和3年4月1日までの新生児に独自の「お祝い金」的な形で5万円を支給することとし、対象者を約7,400人と見込むなど総額4億1,300万円を計上しました。しかし、30日の本会議、31日の各常任委員会ではなぜ5万円なのか、差別すべきではない、「子育てするなら仙台で」を標榜するなら10万円にすべきだなどの意見が相次ぎました。


児童福祉施設等職員に慰労金支給

 総務費では、新型コロナ感染症の影響で失業した方や就職内定を取り消された方50人を市の雇用対策として会計年度任期雇用職員として採用する件、市の会議等をWebで行えるようにするシステム導入経費、市民費では、文化芸術公演再開を施設使用料の補助などの支援経費、全日本大学女子駅伝大会の感染症対策費等が計上されました。

 健康福祉費では、保育所や児童クラブ等福祉施設で利用者との接触を伴うサービスに携わる職員(約13,000人対象)に慰労金5万円を支給する経費に6億9,450万円余、コロナ関係で休止していた保健所での1歳6か月児及び3歳児の健康診査を集団検診から個別検診に切り替えるための経費、帰国者・接触者外来を担う医療機関には1日20,500円と検体採取1件につき3,000円を支給する医療機関支援策と市職員等が行っている検体搬送を民間委託しての保健所体制の強化策が盛り込まれました。


観光客誘致宣伝費の追加、イベント開催に支援策

 経済費では、市内事業者の資金繰り支援のための地域産業金融支援事業費の追加、事業者のテレワーク推進の支援経費、県の中小企業再起支援事業補助金を活用しての事業に追加して事業者負担分を助成する地域産業応援金事業費の追加が盛り込まれました。また、交流人口の回復をめざして旅館やホテルを支援する宿泊促進キャンペーンには6万人を予定して2億3,200万円を計上し、みちのくよさこいや定禅寺ジャズフェスティバル、光のページェントなどまつり等の次期開催をめざす運営費への補助、東北域内の観光産業への消費喚起をめざす旅行商品への補助経費、モデル的に感染症対策をとっての屋外イベント開催の経費への支援費も計上されました。さらに、今年度からスタートした奨学金返還支援事業を人材確保を支援するため社会福祉法人や医療法人等へも拡大(70人を追加)するための基金積立などが提案されました。これらは総額15億8,000万円の第4弾の緊急経済対策費の中に盛り込まれたもので、経済関連費は10億5,000万円となりました。

 土木費では、公共交通の運行継続を支援するため、市バスをはじめ市内バス事業者にバス1台当たり20万円を支給する経費、消防費では救急活動における感染症対策に必要な資機材の経費、指定避難所に感染症対策としての衛生管理体制確保のための経費が盛り込まれました。

 教育費では、新型コロナで修学旅行中止でキャンセル料が派生した場合に保護者負担軽減のための助成費(1億2,900万円)、教育情報ネットワーク整備のための経費等の他、市立幼稚園、小・中・高校、特別支援学校の水道蛇口をレバー式に切り替える経費(これは保育所も同様)が計上されました。

 企業会計においては、市バス・高速鉄道事業会計で、一般会計からの新型コロナウイルス感染症対策補助金、市バスの運行継続奨励金が増額補正された他、市立病院事業会計では、同補助金として国の防疫作業手当を市職員にも適用する臨時特殊勤務手当を支給するための増額補正が提案されました。


社民党市議団の要望政策が補正に多く盛り込まれる

 今臨時議会に提案された補正予算案には、社民党市議団がこれまで緊急要望として提出してきたり、6月の第2回定例会で取り上げた政策、提言等が多く盛り込まれました。

 総務費におけるコロナ禍での失業者や就職内定を取り消された方を市が失業対策として直接雇用すべきという提案、国が障害者・介護施設で働く方への慰労金支給をきめましたが、児童福祉施設は対象から外されたことを受けて支給を求めたことが実現したものです。ただ、学校の教職員への手当等支給については、6月議会でも、今臨時議会でも取り上げましたが残念ながら実現していませんので、引き続き求めていきたいと考えます。

 また保健所の機能強化も一貫して求めてきていますが、会計年度任用職員の配置や検体搬送の委託などによる多忙化解消策が採られてきたこと、医療体制支援策についてはPCR検査を実施する医療機関への支援が盛り込まれたことなどは一定程度評価できます。

 5月に市議団が市内NPO等へのアンケート実施を踏まえてコロナ禍の支援策を要望書として提出しましたが、今回はイベント開催等への支援策が盛り込まれてきたことは評価できますし、今後も経済支援策の拡充を求めていく必要があります。

 今臨時議会に提案された補正予算は国の第2次補正予算における臨時地方創生交付金を活用したものですが、本市に交付されたのは約59億円で、その内の約29億円が計上されたものです。第2回定例会での補正で先取り的に計上されたものもありますので、残り20数億円は9月の第3回定例会で補正計上される予定です。感染症拡大の第2波の襲来が予想されている中、市民の命と健康、暮らしを守るために、あらゆる手立てを尽くしていかなくてはなりません。市議団として市民の声を反映させていくべく奮闘して参ります。


石川けんじ議員が代表質疑

 石川けんじ市議は7月30日、本会議で提案された議案に対して、社民党会派を代表し質疑を行いました。

 今回の補正予算には、社民党会派が求めてきた施策等が大きく反映されたものとなったことを評価した上で、市長には、市民に寄り添い市民の信頼を得られるよう一層の覚悟と決意を求めました。


第一波対策の検証踏まえ、予算を編成

 石川市議は冒頭、市民の不安を払しょくし、市政への信頼を確保することが大切だとして、信頼される新型コロナの第1波の検証と補正予算の編成方針を質しました。

 これに対し郡和子市長は、「再び感染者が確認され始め、市民に不安が広がっている」との認識を示し、「予算は、文化芸術イベントの開催支援や公共交通事業者への奨励金など、地域の実情を踏まえ、速やかに対応すべき施策に計上した」と答弁しました。


慰労金対象者の拡大はならず

 児童福祉施設等職員への慰労金の支給対象を教職員に拡大するよう検討を求めたのに対し、教職員の負担が増加しているとしつつも、「マンパワー投入で負担軽減を図りたい」との答弁にとどまりました。


新生児世帯へ独自給付、今後も総合的メニューで子育て支援

 国の特別定額給付金(一人10万円)の対象にならない4月28日以降の新生児に対する市独自の特別給付金(一人5万円)については、「子育てしやすい仙台」を標榜する市長ならば、10万円にすべきと強く迫りましたが、市長は「国の給付金制度とは別」で、「子どもの誕生を祝い、子育てを支援する考えを示した制度だ」として、今後も総合的なメニューで子育て支援を進めるとの考えを示しました。


バス事業者に運行継続奨励金支給

 社民党会派が強く求めた路線バス事業者への支援については、バス1台当たり20万円の公共交通運行継続奨励金を支給することになりました。

 加えて担当局長は、「十分な換気などの予防策の実践で、感染リスクがほとんどない」との日本モビリティ・マネジメント会議の報告を紹介し、路線バスの安全性を強調しました。

 一方、公共交通の一翼を担うタクシー業界に対する支援については、「注視する」との答弁にとどまったことを問題視、改めて具体の支援を迫り、「業界との意見交換を行うなど、必要に応じて支援策を考えていく」との前向きの答弁を引き出しました。


PCR検査の拡充を約束、幼児検診の意義も確認

 PCR検査の拡充については、「感染拡大局面を見据え、民間機関も含めた検査体制の整備が必要」との認識を示し、「地域で必要な検査体制を確保できるよう取り組む」と表明、検査対象者もハイリスク者と接触する職業の方を検査対象とすることも明らかにしました。

 また、遅れている幼児健康診査についても、当面、個別受診とするが、遅延解消後には、大きな意義と役割を持つ集団検診に戻すとしています。




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