2008年5月1日
宮城県知事  村 井 嘉 浩 殿

宮城県護憲平和センター
理事長  清 藤 恭 雄
社会民主党宮城県連合
代 表  菅 野 哲 雄
宮城県平和労組会議
議 長  及 川 光 行


女川原発での「プルサーマル運転」を認めないよう求める申し入れ


 相次ぐ事故隠しや通報遅れ、耐震安全性への疑問、東芝データー改ざん疑惑など、女川原発への安全性の信頼が崩れるなか、宮城県においては県民の安心・安全を第一義に東北電力に対して対応されてきたことに敬意を表します。

 また、東北電力においても、一連の事故隠しの原因究明や再発防止策について検討が重ねられ、「耐震設計審査指針」の改定に伴う「耐震安全性」について現在も評価中であると認識しているところです。

 しかし、新聞によれば本年4月18日に「北海道電力が泊原発で使用済み核燃料を再利用するプルサーマル計画について、地元の同意を得るための事前協議を北海道と泊村などに申し入れた。」との報道がなされ、一週間後の4月25日には、「東北電力が女川原発でのプルサーマル発電実施に向け、宮城県など地元自治体に対し、近く安全協定に基づく事前了解の申し入れを行う方針を固めたことが24日、分かった。県は、正式申し入れを待って対応を協議する。」「東北電力は既に、非公式ながら、申し入れに向けた準備に着手したことを県に伝えた。」と、「県民の信頼回復」の途中で、かつ、「県民の原発震災への不安が取り除かれる前」に、「東北電力が女川原発でのプルサーマル運転の事前了解申し入れを行うことを宮城県が了承している」と受け止められかねない報道がなされました。

 よって、私ども三団体は、県民の安心・安全を守っていただくため宮城県に対し下記の通り申し入れるので実現をされたい。




1.事故や事故隠しによる不安や不信を増長する、プルサーマル運転を認めないこと。

 この間の東北電力女川原発においての、「事故や事故隠し」への不安や不信はいまだ払拭できておらず、今後も東北電力に対しさらなる原因究明や再発防止策の研究・徹底が求められている段階であること。

 さらに、ひび割れや穴あきなどの事故は、通年発生している状況であり、ウラン燃料用に設計された原発でプルトニウムを混合したMOX燃料を使用することにより、県民の不安や不信はさらに大きいものになることから、女川原発での「プルサーマル運転」については認めないこと。

2.原発震災の不安や危険性を増長する、プルサーマル運転を認めないこと。

 昨年7月16日に発生した新潟県中越沖地震により、柏崎刈羽原発の被害はこれまでの想定を大きく上回る地震によって引き起こされたものであり、原子力安全・保安院も耐震安全指針の見直しを各電力会社に指示し、女川原発においてもその耐震安全評価の途上であること。

 さらに、地震のメカニズムの詳細はいまだ未解明の部分が多く、今後20年以内に90%の確率で発生するという宮城県沖地震が女川原発に及ぼす影響は、現在行われている女川原発の耐震安全評価でははかれない可能性も否定できず、柏崎刈羽原発の被害を上回る臨界事故を引き起こす被害になる可能性もあること。こうした不安や危険に加えて、ウラン燃料用に設計された原発でプルトニウムを混合したMOX燃料を使用することにより、県民の不安や危険はさらに大きいものになることから、女川原発での「プルサーマル運転」については認めないこと。
 
3.三陸の海を放射能で汚染することにつながる、プルサーマル運転を認めないこと。

 東北電力の「六ヶ所再処理工場回収プルトニウムの利用計画(平成20年度)」によれば、東北電力は、日本原燃株式会社の策定した再処理計画によって、「六ヶ所再処理工場で行われる使用済み燃料の再処理よって分離されるプルトニウム0.1トンを平成20年度末までに所有し、平成24年度以降にMOX燃料として女川原発で利用する計画である」と発表しています。

 この六ヶ所村再処理工場で分離されるプルトニウムの利用については、2006年1月6日に東北電力はじめ電力各社が突如発表したものであり、東北電力においては地元自治体や宮城県への説明もなしに発表したことから、私ども三団体は「宮城県として東北電力に白紙撤回の申し入れを行うよう」申し入れてきました(2006年1月20日)が、撤回はおろかプルトニウムの所有量、利用量とも増加をしている計画が発表されています。

 ご存じのように、六ヶ所再処理工場では、人間が近づけば即死という非常に強力な放射線と高熱を出し続ける使用済み核燃料をブツ切りにし、大量の化学薬品を使ってプルトニウム、燃え残りのウラン、死の灰(核分裂生成物)などに分離する巨大な化学工場です。

 しかも、再処理工場は原発や通常の化学工場を規制するような法律はなく、事故がおきなくても日常的に大量(原発1基の1年分以上)の放射能を放出し続けます。高さ150メートルの巨大な排気筒からは、クリプトンをはじめとしてトリチウム、ヨウ素、炭素などの気体状放射能を大気中に放出。六ヶ所村沖合3kmの海洋放出管からは、トリチウム、ヨウ素、コバルト、ストロンチウム、セシウム、プルトニウムなどあらゆる種類の放射能を廃液と共に海に放出されることは、日本原燃の資料によって明らかになっています。

 国や日本原燃は、放射能の大気中への放出、海中への放出について、「放射能が空気によって『拡散』するので問題ない」「大量の海水によって『希釈』するので安全」と説明していますが、すでに再処理工場が30年以上運転されているヨーロッパでは、再処理工場周辺にまき散らされたプルトニウムなどの放射能が、鳥や魚、植物、そして人体からも確認され、環境汚染や人体への影響が報告されています。フランスのラアーグ再処理工場周辺では、小児白血病の発症率がフランス平均の約3倍にのぼるというレポートが発表され、再処理工場の運転や放射能放出を規制する動きが出ていますし、イギリスのセラフィールド再処理工場からの放射能によって汚染されたアイリッシュ海をめぐっては、対岸のアイルランド政府がイギリス政府を訴える事態に発展しているのです。

 こうした状況を知りながら、六ヶ所再処理工場では、「クリプトンとトリチウムを除去する装置の設置」という当初計画さえ経済的な理由により放棄し、全量の放射能を空気中と海中にまき散らし続けるのです。

 六ヶ所再処理工場から、大気中へ放出された放射能は、六ヶ所村住民はもとより風にのって宮城県の農作物を汚染し続け、海中に放出された放射能は豊かな三陸の海の魚介類や海産物を放射能で汚染し、最終的には県民を放射能で被曝させることになります。

 こうした観点からも、六ヶ所再処理工場で作られるMOX燃料を使用する、女川原発での「プルサーマル運転」については認めないこと。
以上