社民党宮城



県 議 団



ニ ュ ー ス



20/1月号
議会報告


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宮城県議会社民党県議団控室

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【2019年11月定例県議会報告】


県営水道3事業の運営権売却へ条例可決される

 県議選後初の定例県議会は11月25日召集され、12月17日までの23日間開かれました。今議会には県営水道3事業の運 営権売却を可能にする企業局設置条例改正案や台風19号の被害者に対する各種減免措置を行うなどの条例議案、台風19号の豪雨による被害に対する復旧関係 予算842億円など総額1,237億円の補正予算、東日本大震災の復旧工事請負契約承認などの条例外議案などが提案されました。

 今回の議会の最も大きな焦点になったのは市町村への水道用水供給事業、工業用水道、広域的に汚水処理を行う流域下水道の県 営水道3事業を一体化させて20年間運営権を受け皿のために設立する特定目的会社に売却を可能にする企業局設置条例改正案です。本会議の一般質問では登壇 した16人中9人が取り上げ、賛否双方の立場から質問が行われました。疑問視する立場からは県民に対する十分な説明の不足、県職員の技術継承に対する不安 等が指摘されると ともに、賛成の立場の議員からは将来のコスト増に備えて早期の導入を求める意見とともに災害などのリスク管理をどうするか等の質問が出されました。議案は 所管の建設企業委員会に付託され、12月13日の委員会で議論が行われ可決、最終日の本会議で社民党県議団から岸田県議が反対討論を行いましたが賛成多数 により可決されました。

 10月に宮城県を襲った台風19号による豪雨被害は甚大で、その対策を一般質問で13人の議員が取り上げました。堤防の決 壊、越水、溢水などによる河川、農業、住居等に対する被害の実態と対策が求められました。とくに浸水による住宅被害で一部損壊に判定されて国の支援制度か ら漏れる世帯に対する県独自の支援制度創設を求める質問が与野党問わず出されました。

 本会一般質問ではこの他に県立美術館の移転問題、県が創設を計画している宿泊税、女川原発再稼働問題などが取り上げられま した。

 今議会では予算特別委員会総括質疑に熊谷義彦県議が立ち、県の河川流域情報システムや豚コレラの問題を質問しました。

 意見書は厚労省が公表した公立病院再編問題に対して「地域の医療と病院を守ることを求める意見書案」を会派間協議に付しま したが、今後の会派間意見集約につなげるためいったん取り下げました。今議会では「令和元年台風19号等に係る災害対策に対する支援を求める意見書」が合 意され、最終日の本会議において全会一致で採択されました。



予算特別委員会総括質疑 12/11 熊谷義彦

 今回は予算特別委員会で予算案の課題について質疑しました。以下2点です。

(1)宮城県河川流域情報システムについてです。今回の台風19号の河川情報に関して多くの市民が県情報にアクセスした 結果、サーバーがパンクし停止状態になりま した。その結果市町村のアクセスも不可能となり、混乱をおこしてしまいました。現在2回線しかなく、1回線が県職員専用回線、他1本が一般回線になってい ました。一般回線に市町村、県民の方々が集中してアクセスした結果でした。これを改良することを強く求めて、市町村枠の回線を増やすことが可能になりまし た。災害以前に情報を的確に収集することが防災・減災への第一歩です。

(2)家畜衛生事業費は、豚コレラが全国的に感染拡大される可能性があり、国施策として防護するために事業化されたもの です。現時点では、宮城県には豚コレラは発 生していませんが、周辺県まで来ています。イノシシが感染媒体になるといわれ、豚舎にイノシシ等近づけないように防護柵を設置するものです。一方イノシシ が土を掘る特性を持つ事から基礎工事への補助がないこと、ワクチン接種、感染豚の処分等も含めて今後の課題にもなりますが、急がなければなりません。併せ て、既存、新設の養豚場の汚物、ハエ・臭気等の対策と公害防止についても提起しました。

 現在感染が進んでいるCSF豚コレラには、ワクチンがありますが、ASF豚コレラはワクチンが現在では無い事もあり、空 港、港等での防渡体制の強化が求めら れてきます。グローバル社会の中で、多くの海外からの人的交流、物資の交流が強まっており、リスクも抱えることが日常化してきています。正確な情報を的確 にとらえることも重要になります。



建設企業委員会 12/13 岸田清実

 県議選後初議会である11月定例県議会で6つの常任委員会のうち私は土木部と企業局を所管する建設企業委員会に所属しまし た。今回の県議会での最大の焦点は県営水道3事業の運営権売 却を可能にする企業局設置条例改正でしたが、その議案審議を担当したのがこの委員会です。12月13日に議案審査が行われ、私はとくに市町村水道の基盤強 化との関係で問題点を指摘しました。


県の役割は市町村水道の基盤強化

 昨年秋に成立した改正水道法は主に市町村水道の基盤強化への県の役割強化と官民連携(コンセッション方式)を導入可能にす ることが柱でした。とくに全国の道府県に求めた のは市町村水道の基盤強化です。宮城県でも今年2月から環境生活部所管でその動きが始まっていますが大きな前進はありません。市町村水道の広域化、広域連 携による基盤強化が脇に置かれたまま県営水道3事業の一体化と運営権売却が進むのは問題だし、広域化、広域連携を阻害してしまうのではないかといくつかの 具体的な点を取り上げながら指摘しました。


第三者モニタリングに消費者の参加を求める

 運営権が特定目的会社に売却され、浄水場の運転などが一任されてしまう方式のため、水質維持や安定的経営のために県は管理 運営などを県および新たに設置する第三者機関によってモニタリング(チェック)す るとしています。しかし第三者機関の構成は専門家とだけ公表され、消費者や関係自治体からのメンバーは想定されていません。透明性、公正性を確保するため には問題があると指摘しました。桜井企業局管理者から「消費者目線、関係自治体の意見を取り入れることは重要であることから検討したい」と答弁がありまし た。


今議会で採択された意見書

令和元年台風第十九号等に係る

災害対策に対する支援を求める意見書

 本年十月十二日に上陸した台風第十九号は、東日本を中心に記録的な豪雨をもたらし、全国各地に甚大な被害を発生させた。そ の後も、十月二十四日から二十六日にかけて各地で記録的な大 雨となり、さらに被害が拡大した。

 本県においても、河川の氾濫や土砂災害などが発生し、尊い人命が奪われ、多数の住宅が全半壊・浸水したほか、交通・生活イ ンフラや公共土木施設、農林水産業施設、学校、病院、社会福 祉施設、商工業施設、農林水産物など多方面にわたり、各地で甚大な被害に見舞われた。

 現在、被災自治体では、国からの支援のもと、早期の復旧に向けて全力を挙げるとともに、住民生活の一日も早い安定に向け、 関係機関と一体となって緊密な連携を図りながら災害対策に取り組んでいるところである。しかしながら、今回の災害に よる被害は非常に大きなものとなっているため、復旧や住民生活の安定に向けては、膨大な経費と労力が必要となる。特に、財政規模が小さい被災自治体や東日 本大震災からの復旧・復興事業を抱える被災自治体においては、財政面・人員面で多大な負担を強いられ、対応に苦慮している。

 また、被災者の生活の再建や、住民の足となっている公共交通インフラの早期復旧など、国によるさらなる支援が必要な状況で ある。

 よって、国においては、今回の災害対策に万全を期すため、地域の実情を踏まえ、次の措置を講ずるよう強く要望する。




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