社民党宮城

県 議 団

ニ ュ ー ス

18/7月号

議会報告



仙台市青葉区本町3-8-1

宮城県議会社民党県議団控室


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6月定例県議会報告

観光振興に新たな財源検討へ

 6月定例県議会は6月18日召集され、7月4日までの17日間開かれました。今議会には東日本大 震災後はじめて補正予算が提案されず、予算外議案のみの議案となりました。復旧復興工事の発注がピークを過ぎ、ハード面の整備が一定程度進んできたことが 影響しています。10年間の集中復興期間の期限が視野に入ってきていることから、その後の復興のあり方に関する議論、生活の再建などソフト面重視などを視 野に入れていかなければならない時期に来ています。

 今議会には観光振興財源検討会議条例など条例議案14件、条例外議案22件、報告31件が提案されました。観光振興財源検討会議は東京などで実施されている宿泊税(観光客など宿泊者から徴収する新税)を 想定して検討していこうというものです。この収入は観光振興にあてられることから歓迎の声がある一方で、新たな負担が観光客の減少につながるのではないか との危惧も出されています。知事は「東京などではマイナスの影響は無い」と記者会見で述べていますが、大都市東京と宮城県を同一視はできないはずで、慎重 な検討が求められます。

 報告事項の中には4月に原告勝訴の高裁判決が出た大川小学校訴訟の上告に関する知事の専決処分(本来なら議会が議決すべき事項を特定の理由により首長が決定。直近の議会に報告し承認を求める)が 含まれ、承認が求められました。専決処分前の5月9日に行われた県議会全員協議会で社民党県議団を代表して岸田県議が質疑を行い、「上告審は憲法に抵触す るか否かが問われる法廷。高裁判決に不服だというだけで良いのか」と指摘し、慎重な対応を求め、他会派からも同様の取り扱いが求められました。しかし、知 事は5月10日に専決処分で上告を決定し、手続きを進めることにしました。今議会への大川小学校訴訟の上告に関する専決処分について社民党県議団は承認に反対しました。

 本会議の一般質問では、気仙沼市魚町地区海岸防潮提工事で住民との合意より誤って22cm高く施工してしまった問題を何人かの議員が質問しました。また復旧復興の諸課題、石巻市桃浦での水産特区の評価などが取り上げられています。

 意見書では社民党県議団から「地方財政の充実・強化を求める意見書案」を会派間協議に提案し、一部修正のうえ合意され、最終日の本会議で採択されました。



■  岸田清実  総務企画委員会


         □総務企画委員会

 7月3日に総務企画委員会が開かれ、県たばこ税の税率引き上げなどを含む宮城県税条例等の一部を改正する条例などを審議し、提案議案については全て可決しました。

 県当局からの報告事項の中に職員の処分が3件含まれ、理由無く長期に欠勤、遺失物横 領、職場での暴力行為などに停職他の処分が課されたことが報告されました。私は「行われた行為に処分が課されるのはやむをえないが、メンタルヘルス上の問 題は無かったのか」と指摘しました。当局からは「頭痛による体調不良のケースがある」と答えました。私からは「メンタルヘルスは大きな課題になっている。 問題が大きくならない前にサポートする体制が必要ではないか」と改めて指摘しました。伊東昭代総務部長から「必要なサポートについて十分考えていく」と答 弁がありました。


□県が水道用水供給事業等の運営権民間開放を計画

 県政の大きな課題になっているのが上工下水一体運営官民連携事業です。今年11月県議会で関係条例を改正し、実現を図ろうとしています。私たちはこの間、いくつもの課題があることを指摘しています。

【9事業を一体化】

宮城県は市町に対する水道用水供給事業2 事業と3工業水道、4流域下水道の計9事業を一体化し、管路等は県所有のままにして運営権を民間に開放する計画を進めています。コンセッション方式と呼ば れるもので、実現すれば水道用水を含むものとしては全国初で規模としても最大になります。

【人口減少社会で厳しい環境】

 日本は人口減少時代に入るとともに社会が節水型に移行していることから給水量は今後緩やかに減少 していくため水道用水供給事業等の運営に厳しさが予想されます。また設備、管路の更新も行う必要があり、今後20年間の更新費用が水道用水事業だけで 1,440億円と算出されています。今回の民間開放は運営・更新の巨額の費用を節減するためと県は説明しています。

【直営一体化での効率を計算せず】

 今回は民間に開放することで経費を節減できるということが運営権開放の根拠となっています。一方公営で維持した場合の計算は個々の事業をバラバラに行った場合の計算であり、一体化大規模化の前提での試算は行っていません。はじめから民間開放の結論ありきの姿勢です。

【技術の継承に不安】

 運営権を民間に開放したとしても県は運営チェックの役割を持ち、大規模災害時には県が責任を持つ ことになっています。しかし長期にわたって運営、設備更新の実務を民間に任せた場合は県にチェックや緊急対応の技術継承が可能なのか不安です。今回の計画 には多くの問題点があることから、しっかり検証していく必要があります。




■熊谷義彦   環境生活農林水産委員会

 

気仙沼防潮堤・トリチウム等汚染水等で議論


 委員会に付託された予算外議案は5議案でした。

(1)農業大学校への入学金等を被災生徒に免除すること

(2)国営土地改良事業負担金徴収条例一部改正

(3)水産技術総合センター使用料条例の一部改正

(4)放射性物質濃度測定装置(大気モニター)19ヶ所分の取得について

(5)石巻寄磯漁港防波堤災害復旧工事請負変更契約について。

以上を議論し、全員一致で承認しました。

 UPZ圏内の19ヶ所にモニタリング機器を設置することについては、離島に対し設置されていないことを指摘し、検討のうえ別途計画することを求めました。



 委員会の報告事項としては

(1)県付属機関等の「設置」及び構成員の選任等の状況について

(2)平成30年度における指定管理者の募集について

(3)東京電力福島第一原子力発電所の状況について

(4)石巻圏域子ども・若者総合相談センター開設について

(5)担い手への農地集積状況と農地中間管理事業の推進について

(6)石巻桃浦地区水産業復興特区復興推進計画の変更認定について

(7)気仙沼漁港内湾地区防潮堤の天端高さの対応についての7件が報告・協議されました。


 (3)は東京電力の現状では、県要請として汚染水問題への対応が判然 としないことから委員会で議論となりました。そもそも、汚染水はトリチウム水ではなく、多核種が完全に除去できないままのトリチウム水を保管しているこ と。トリチウムを含めた汚染水の海洋放出は絶対に許せないこと。宮城県議会は、既にトリチウム水等を海洋に放出することには反対であることを決議し、国に も要望していること。これ以上の風評、放射能実害の拡大を許してはいけないことを強く県当局に求めました。県当局、知事は海洋放出に反対との態度表明はし ていません。

 また、原発廃炉に伴って産業廃棄物として出される、放射能汚染廃棄物 は、東京電力の敷地内に、安全に保管し、敷地外に出さないことを求めました。また、いまだ山菜等が出荷制限される実害がありながら、賠償金支払いを停止し ている東京電力に対し、県当局からも強く賠償請求に応じる事を強く求めました。

 放射能汚染物処理をめぐっては、処分方法をめぐって県民の間に大きな不信・疑問が、行政・東電等にあることを強く指摘しました。

(4)の相談センターは、県内初のモデル事業として「ひきこもり、ニート、不登校等」への相談を開設するものであり、この実績を重ね「ひきこもり等」への対応策を教訓化していくことを要請しました。

(7)気仙沼防潮堤問題については、知事が関係者に謝罪すること、誤った工事を行った原因と過失割合、県行政不信への払拭等の提言がされています。県の具体策を示し、近く住民の皆さんとの再協議の中で合意がなされることを期待しています





地方財政の充実・強化を求める意見書

 

地方自治体は、子育て支 援策の充実と保育人材の確保、高齢化の進行に伴う医療・介護などの社会保障への対応、地域交通の維持など、果たすべき役割が拡大する中で、人口減少対策を 含む地方版総合戦略の実行やマイナンバー制度への対応、大規模災害を想定した防災・減災事業の実施など、新たな政策課題に直面している。

 また、これらの新たなニーズに対応し、細やかな公的サービスを提供するための人材確保が急務となっており、これに見合う地方財政の確立を目指す必要がある。

 こうした状況にもかかわらず、「社会保障費の圧縮」や「公的サービスの産業化」など 地方財政をターゲットとした歳出削減に向けた議論が加速している。特に、民間委託を前提として地方交付税を算定する「トップランナー方式」は、地方財政全 体の安易な縮小につながることが危惧されるだけではなく、客観的かつ中立的であるべき地方交付税制度の根幹を揺るがしかねないものとなっている。

 本来、必要な公的サービスを提供するため、財政面でサポートするのが地方財政計画の役割であるにもかかわらず、財政再建目標を達成するためだけに必要不可欠な公的サービスが削減されれば、国民生活と地域経済に疲弊をもたらすおそれがある。

 よって、国においては、平成三十一年度予算及び地方財政の検討に当たっては、歳入・歳出を的確に見積もり、社会保障予算の充実及び地方財政の確立に向け、次の措置を講ずるよう強く要望する。

 

一 災害対策、地域交通対策、人口減少対策など、増大する地方自治体の財政需要を的確に把握し、これに見合う地方一般財政総額の確保を図ること。

二 子ども・子育て支援新制度、地域医療の確保、地域包括ケアシステムの構築、生活困窮者自立支援、介護保険制度や国民健康保険制度の見直しなど、急増する社会保障ニーズの対応と人材を確保するための社会保障予算の確保及び地方財政措置を的確に行うこと。

三 地方交付税については、平成二十七年度の国勢調査を踏まえ、各地方自治体における人口及び産業の規模の差異などを考慮し、地方自治体の行財政運営に支障が生じることがないような算定方法について、検討を行うこと。

四 災害時に住民の命と財産を守るため、地方自治体の庁舎を初めとした公共施設の耐震化や緊急防災・減災事業の対象事業の拡充と十分な実施期間の確保を行うこと。

五  地域間の財源偏在性の是正のため、地方偏在性の小さい所得税・消費税を対象に国税から地方税への税源移譲を行うなど、抜本的な解決策の協議を進めるこ と。同時に、各種税制の廃止、減税を検討する際には、地方自治体の財政に与える影響を十分検証した上で、代替財源の確保を初め、財政運営に支障が生じるこ とがないよう、対応を図ること。

六 地方交付税の財源補償機能・財政調整機能の強化を図り、市町村合併の算定特例の終了を踏まえた新たな財政需要の把握、小規模自治体に配慮した段階補正の強化などの対策を講ずること。

七 地方自治体の基金残高を、地方財政計画や地方交付税に反映させないこと。



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