宮城県知事  村 井 嘉 浩 様


指定廃棄物の最終処分場問題について、市町村に詳細調査を強要しないこと、国に特措法と基本方針の見直しを求めることを要請いたします

2014年7月29日


 福島第一原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場をめぐって7月25日に開催された市町村長会議で、石原伸晃環境大臣が処分場建設につながる詳細調査に関わる全市町村の意見集約を貴職に一任 し、貴職はこれを受け入れました。

 環境省が 「候補地」 として選定した栗原市・深山獄、加美町・田代岳、大和町・下原地区は、いずれも適地とはいえず、3カ所とも水源地であることが大問題です。県民の安全と生業を脅かす場所に処分場を建設すべきではありません。

 候補地の選定過程にも疑問があります。「候補地」 の選考基準について、県の生活環境農林水産部長も「(市町村に対する) 説明不足」「 (市町村との) いき違いがあったことは否めない」 ( 7月18日の県議会生活環境農林水産委員会) と、認めています。

 したがって、詳細調査に入ることは、不当に選定された水源地の1カ所に処分場建設を強行するという、誤 りの上に誤りを重ねることを意味しています。

 宮城県議会は、「候補地の3カ所は、いずれも水源地にあり、その下流域では、飲料水や農業用水として広く利用されており、候補地に選定されたことで、既に深刻な風評被害が生じている」 と指摘する意見書を全会一致で採択し、詳細調査については、「前提がないまま調査を強行しないよう強く要望する」としています。同趣旨の意見書は大崎市議会、色麻町議会、美里町議会、涌谷町議会でも採択されており、これは県民の総意です。

 石原大臣は、詳細調査を受け入れさせるために来県しましたが、強要できなかったのは詳細調査が県民の総意に反するからです。大臣でさえ躊躇したことを、貴職が代行するようなことがあってはならず、私たちは貴職に対して県議会と県民の総意に正面から背反する詳細調査は、絶対に強要しないよう、強く要請いたします。

 また、私たちは、別紙の 「アピール」 で述べているように、福島第一原発事故により引き起こされた問題を、東電と政府の責任で全体的に解決する道に転換することが、 処分場問題でも解決の展望を開くと考えています。強権的な放射性廃棄物汚染対処特措法と、矛盾を自治体と住民に押しつけるものになっている 「基本方針」 を見直すよ う、政府に要請することを貴職に求めるものです。

以上